創世記1-3 ; マタイ1

創世記

第1章

1:1はじめに神は天と地とを創造された。1:2地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。
1:3神は「光あれ」と言われた。すると光があった。1:4神はその光を見て、良しとされた。神はその光とやみとを分けられた。1:5神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕となり、また朝となった。第一日である。
1:6神はまた言われた、「水の間におおぞらがあって、水と水とを分けよ」。1:7そのようになった。神はおおぞらを造って、おおぞらの下の水とおおぞらの上の水とを分けられた。1:8神はそのおおぞらを天と名づけられた。夕となり、また朝となった。第二日である。
1:9神はまた言われた、「天の下の水は一つ所に集まり、かわいた地が現れよ」。そのようになった。1:10神はそのかわいた地を陸と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。神は見て、良しとされた。1:11神はまた言われた、「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上にはえさせよ」。そのようになった。1:12地は青草と、種類にしたがって種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ木とをはえさせた。神は見て、良しとされた。1:13夕となり、また朝となった。第三日である。
1:14神はまた言われた、「天のおおぞらに光があって昼と夜とを分け、しるしのため、季節のため、日のため、年のためになり、1:15天のおおぞらにあって地を照らす光となれ」。そのようになった。1:16神は二つの大きな光を造り、大きい光に昼をつかさどらせ、小さい光に夜をつかさどらせ、また星を造られた。1:17神はこれらを天のおおぞらに置いて地を照らさせ、1:18昼と夜とをつかさどらせ、光とやみとを分けさせられた。神は見て、良しとされた。1:19夕となり、また朝となった。第四日である。
1:20神はまた言われた、「水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天のおおぞらを飛べ」。1:21神は海の大いなる獣と、水に群がるすべての動く生き物とを、種類にしたがって創造し、また翼のあるすべての鳥を、種類にしたがって創造された。神は見て、良しとされた。1:22神はこれらを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、海の水に満ちよ、また鳥は地にふえよ」。1:23夕となり、また朝となった。第五日である。
1:24神はまた言われた、「地は生き物を種類にしたがっていだせ。家畜と、這うものと、地の獣とを種類にしたがっていだせ」。そのようになった。1:25神は地の獣を種類にしたがい、家畜を種類にしたがい、また地に這うすべての物を種類にしたがって造られた。神は見て、良しとされた。
1:26神はまた言われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう」。1:27神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。1:28神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」。1:29神はまた言われた、「わたしは全地のおもてにある種をもつすべての草と、種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。これはあなたがたの食物となるであろう。1:30また地のすべての獣、空のすべての鳥、地を這うすべてのもの、すなわち命あるものには、食物としてすべての青草を与える」。そのようになった。1:31神が造ったすべての物を見られたところ、それは、はなはだ良かった。夕となり、また朝となった。第六日である。

第2章

2:1こうして天と地と、その万象とが完成した。2:2神は第七日にその作業を終えられた。すなわち、そのすべての作業を終って第七日に休まれた。2:3神はその第七日を祝福して、これを聖別された。神がこの日に、そのすべての創造のわざを終って休まれたからである。
2:4これが天地創造の由来である。
主なる神が地と天とを造られた時、2:5地にはまだ野の木もなく、また野の草もはえていなかった。主なる神が地に雨を降らせず、また土を耕す人もなかったからである。2:6しかし地から泉がわきあがって土の全面を潤していた。2:7主なる神は土のちりで人を造り、命の息をその鼻に吹きいれられた。そこで人は生きた者となった。2:8主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、その造った人をそこに置かれた。2:9また主なる神は、見て美しく、食べるに良いすべての木を土からはえさせ、更に園の中央に命の木と、善悪を知る木とをはえさせられた。2:10また一つの川がエデンから流れ出て園を潤し、そこから分れて四つの川となった。2:11その第一の名はピソンといい、金のあるハビラの全地をめぐるもので、2:12その地の金は良く、またそこはブドラクと、しまめのうとを産した。2:13第二の川の名はギホンといい、クシの全地をめぐるもの。2:14第三の川の名はヒデケルといい、アッスリヤの東を流れるもの。第四の川はユフラテである。
2:15主なる神は人を連れて行ってエデンの園に置き、これを耕させ、これを守らせられた。2:16主なる神はその人に命じて言われた、「あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べてよろしい。2:17しかし善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう」。
2:18また主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」。2:19そして主なる神は野のすべての獣と、空のすべての鳥とを土で造り、人のところへ連れてきて、彼がそれにどんな名をつけるかを見られた。人がすべて生き物に与える名は、その名となるのであった。2:20それで人は、すべての家畜と、空の鳥と、野のすべての獣とに名をつけたが、人にはふさわしい助け手が見つからなかった。2:21そこで主なる神は人を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の一つを取って、その所を肉でふさがれた。2:22主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた。2:23そのとき、人は言った。
「これこそ、ついにわたしの骨の骨、
わたしの肉の肉。
男から取ったものだから、
これを女と名づけよう」。2:24それで人はその父と母を離れて、妻と結び合い、一体となるのである。2:25人とその妻とは、ふたりとも裸であったが、恥ずかしいとは思わなかった。

第3章

3:1さて主なる神が造られた野の生き物のうちで、へびが最も狡猾であった。へびは女に言った、「園にあるどの木からも取って食べるなと、ほんとうに神が言われたのですか」。3:2女はへびに言った、「わたしたちは園の木の実を食べることは許されていますが、3:3ただ園の中央にある木の実については、これを取って食べるな、これに触れるな、死んではいけないからと、神は言われました」。3:4へびは女に言った、「あなたがたは決して死ぬことはないでしょう。3:5それを食べると、あなたがたの目が開け、神のように善悪を知る者となることを、神は知っておられるのです」。3:6女がその木を見ると、それは食べるに良く、目には美しく、賢くなるには好ましいと思われたから、その実を取って食べ、また共にいた夫にも与えたので、彼も食べた。3:7すると、ふたりの目が開け、自分たちの裸であることがわかったので、いちじくの葉をつづり合わせて、腰に巻いた。
3:8彼らは、日の涼しい風の吹くころ、園の中に主なる神の歩まれる音を聞いた。そこで、人とその妻とは主なる神の顔を避けて、園の木の間に身を隠した。3:9主なる神は人に呼びかけて言われた、「あなたはどこにいるのか」。3:10彼は答えた、「園の中であなたの歩まれる音を聞き、わたしは裸だったので、恐れて身を隠したのです」。3:11神は言われた、「あなたが裸であるのを、だれが知らせたのか。食べるなと、命じておいた木から、あなたは取って食べたのか」。3:12人は答えた、「わたしと一緒にしてくださったあの女が、木から取ってくれたので、わたしは食べたのです」。3:13そこで主なる神は女に言われた、「あなたは、なんということをしたのです」。女は答えた、「へびがわたしをだましたのです。それでわたしは食べました」。3:14主なる神はへびに言われた、
「おまえは、この事を、したので、
すべての家畜、野のすべての獣のうち、
最ものろわれる。
おまえは腹で、這いあるき、
一生、ちりを食べるであろう。
3:15わたしは恨みをおく、
おまえと女とのあいだに、
おまえのすえと女のすえとの間に。
彼はおまえのかしらを砕き、
おまえは彼のかかとを砕くであろう」。3:16つぎに女に言われた、
「わたしはあなたの産みの苦しみを大いに増す。
あなたは苦しんで子を産む。
それでもなお、あなたは夫を慕い、
彼はあなたを治めるであろう」。3:17更に人に言われた、「あなたが妻の言葉を聞いて、食べるなと、わたしが命じた木から取って食べたので、
地はあなたのためにのろわれ、
あなたは一生、苦しんで地から食物を取る。
3:18地はあなたのために、いばらとあざみとを生じ、
あなたは野の草を食べるであろう。
3:19あなたは顔に汗してパンを食べ、ついに土に帰る、
あなたは土から取られたのだから。
あなたは、ちりだから、ちりに帰る」。
3:20さて、人はその妻の名をエバと名づけた。彼女がすべて生きた者の母だからである。3:21主なる神は人とその妻とのために皮の着物を造って、彼らに着せられた。
3:22主なる神は言われた、「見よ、人はわれわれのひとりのようになり、善悪を知るものとなった。彼は手を伸べ、命の木からも取って食べ、永久に生きるかも知れない」。3:23そこで主なる神は彼をエデンの園から追い出して、人が造られたその土を耕させられた。3:24神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた。


マタイ

第1章

1:1アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図。
1:2アブラハムはイサクの父であり、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちとの父、1:3ユダはタマルによるパレスとザラとの父、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父、1:4アラムはアミナダブの父、アミナダブはナアソンの父、ナアソンはサルモンの父、1:5サルモンはラハブによるボアズの父、ボアズはルツによるオベデの父、オベデはエッサイの父、1:6エッサイはダビデ王の父であった。
ダビデはウリヤの妻によるソロモンの父であり、1:7ソロモンはレハベアムの父、レハベアムはアビヤの父、アビヤはアサの父、1:8アサはヨサパテの父、ヨサパテはヨラムの父、ヨラムはウジヤの父、1:9ウジヤはヨタムの父、ヨタムはアハズの父、アハズはヒゼキヤの父、1:10ヒゼキヤはマナセの父、マナセはアモンの父、アモンはヨシヤの父、1:11ヨシヤはバビロンへ移されたころ、エコニヤとその兄弟たちとの父となった。
1:12バビロンへ移されたのち、エコニヤはサラテルの父となった。サラテルはゾロバベルの父、1:13ゾロバベルはアビウデの父、アビウデはエリヤキムの父、エリヤキムはアゾルの父、1:14アゾルはサドクの父、サドクはアキムの父、アキムはエリウデの父、1:15エリウデはエレアザルの父、エレアザルはマタンの父、マタンはヤコブの父、1:16ヤコブはマリヤの夫ヨセフの父であった。このマリヤからキリストといわれるイエスがお生れになった。
1:17だから、アブラハムからダビデまでの代は合わせて十四代、ダビデからバビロンへ移されるまでは十四代、そして、バビロンへ移されてからキリストまでは十四代である。
1:18イエス・キリストの誕生の次第はこうであった。母マリヤはヨセフと婚約していたが、まだ一緒にならない前に、聖霊によって身重になった。1:19夫ヨセフは正しい人であったので、彼女のことが公けになることを好まず、ひそかに離縁しようと決心した。1:20彼がこのことを思いめぐらしていたとき、主の使が夢に現れて言った、「ダビデの子ヨセフよ、心配しないでマリヤを妻として迎えるがよい。その胎内に宿っているものは聖霊によるのである。1:21彼女は男の子を産むであろう。その名をイエスと名づけなさい。彼は、おのれの民をそのもろもろの罪から救う者となるからである」。1:22すべてこれらのことが起ったのは、主が預言者によって言われたことの成就するためである。すなわち、
1:23「見よ、おとめがみごもって男の子を産むであろう。
その名はインマヌエルと呼ばれるであろう」。
これは、「神われらと共にいます」という意味である。1:24ヨセフは眠りからさめた後に、主の使が命じたとおりに、マリヤを妻に迎えた。1:25しかし、子が生れるまでは、彼女を知ることはなかった。そして、その子をイエスと名づけた。


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